ひさしぶりです、お元気ですか、

「じゃあね」と手を振ってからもうすぐ1年経っちゃいますね

あの時乗ってたCB50もMT50変わり

そのMT50も1100kで買ったのが5000Kなりました

先日変わったことがあったので書きます

土木研究所に実習に行って夏に続いて春も行ったんです

そこの上司だった人がボロの車をくれるというのでもらうことにしました

その車が東大の構内におきっぱなしになっているので取り行ったんです

バッテリーはいかれちゃっているので、

新しいのを買って、上野までぶらさげて行きました

もう暗くなりかけている駐車場で

いっしょうけんめいバッテリーを取替えました

車のオーナーになれるのかな、と考えながら作業が終わって

おそるおそるキーイを回すと、なんとちゃんとエンジンがかかって感激しました、

さっそく乗って帰ろうとしました

構内から出てしばらくして信号待ちをしてると助手席のマドをたたく音がしました。

見るとちょっといかれた風の女の子が立っていました

マドを開けて何か用かと聞くと、




「ちょっと乗せてほしいんだよね、車がいかれちゃってさ」




えーどこまで、と聞くと

うん、そこまでなんだよ、と

何だかよくわかんなかったけど、おれも車にガソリンを入れたかったし。

近くのカソリンスタンドまで案内してもらおうと思い

じゃ乗せてあげるからガソリンスタンド教えてよ

その娘はすぐ乗ってきた、なんと後からツッパリ兄ちゃん二人もいっしょに

「一人じゃないの」と言おうと思ったけどやめた

チンピラとまではいかないけれど、まあ不良というところだ

年はたぶんおれと同じか一つ二つ下といったところ

話はどうも要領を得なくて、みょうになれなれしくて

だけどまあそんなことはあまり気にしなかった。最近おれも誰にでもわりになれなれしかったし

とにかく車のバッテリーがあかって動きが取れない

金も全くない友達のところまで金をかりに行くから、1500円貸してくれ、そんな話で

「うんしょうがないな」とか言いながら貸した







少し走った所でその友達の所へ行くと言うので二人降ろし一人残ってもらい

そいつの案内でおれはガスを入れに行った

ガソリンを入れている間少しそいつと話をしてた

それは軽い話題でたいした内容もなかったけどいつもおれが話していることと違っていた

「日大行ってる」って言うと、頭いいんだねなんて言ってた

さっき降りた二人のことを、いいカップルだねとしみじみ言ったりもした

ガソリンを入れ待ち合わせのところでしばらく待っていると

さっきの二人がどこからともなく戻って来て、

せっかく知り合ったんだから今日はどこかに遊びに行こうとか

ドライブに連れてってくれとか新宿に連れてってくれとか言いだした

8:00近くなので、おれもう帰るよと言ったんだけど、


新宿に連れてってくれそこに友達がいて用事があるんだ


あまり言うのでじゃあ新宿までということで走り出した。

女の子が「あたし道知っている」と言うもんで

言われる通り運転した。そのうちコンビニを見つけて「ちょっと止めて」って言われて

買ってきたのはビニールブクロでアンパンをやりはじめました

要領を得ない話はさらにひどくなり、さっき残った男が道案内をしていた、窓を開けても

車の内にシンナーの臭いがいっぱいになり



「頭が痛くなるからやめてくれよ」と言った





意外に素直にやめた

わけの分からない道をぐるぐる走り西早稲田まで行った所で

信号見落としてあやうく路肩に突っこみそうになった

驚いた事に、ちゃんとおまわりさんがみていた、減点2、罰金6000円あーあ

約1年前の減点2がもうすぐ消えるとこだったのに、

これから1年減点4を背負って生きるのかと落ちこんだ

後ろの席ではおもしろがって笑っている。

いいかげんに気げんが悪くなって

「こっちは笑うどころじゃない」というと


あたいたち罰金はらうから、あと500円かしてくれない

なんだよ金もってないのかよ

1500円はかえせないのかよ、新宿まで行けば友達いるからさあ、

このころはもう信じられなくなった

もう金なんて貸せないよと言って黙って運転していた






つまんない気分でとにかく新宿につくと、そこそこに止めて、止めると回りにはやくざさんとおぼしき人達2.3人

あーあと思っていると後の席ではマドをあけて

2000円で1本たのむ、だめだ2500円じゃないと、

そうだこの光景はこのあいだデレビで見たくすりか、シンナーの売買である

話は成立したようで、じゃあ南口へ行きな、というやくざさんのおことば

じょうだんじない、車をだしたらすぐおりてもらおうと思ってると、

じゃあおれたちも乗ってくからとヤーサン2人も乗ってきた。もう何も言えませんでした

あーあやばいなあと思うばかり、

ヤーサンの指示で走ると前にとろとろパトカーが走っている

抜かしたりするなよという有り難いお言葉、

そのうちパトカーは左に車をよせたので抜かしていくとちゃんとくっついてきている、ヤバイと思うまもなく、

前のセリカ止まりなさい

後にヤーサン、その後におまわりさんという2大勢力に囲まれて、もうやだ目の前真っ暗、

おまわりさんに止められて




どこまで行くんだね

ええ千葉まで帰るところです

新宿に何しに来た

見物です

おい車の中シンナーくさいな誰かアンパンやってんだろう

いいえ

とかなんとかやりとりがあって、おれに向って

君ちょっと降りなさい

はい、パトカーの方に連れていかれて

後ろにいるあれ他人じゃないのか

ええ

どうしたんだ

じつはかくかくしかじか

じゃあ知らないやつらなんだな

ハア

おまえだけどうも様子が違うんで降ろしてみたんだ




さすがおまわりさん見ただけでわかるんだな

やがてパトカーが2台、3台と集まって来ておまわりさんたち

ありゃ売人だな新宿署までしょっぴいていく

新宿一杯だよ

じゃ四谷署だ

というわけで四谷署へ

おれら全員別々に取り調べ室

ああ、テレビによくでてくるこの部屋、小さな部屋に、机向かいあわせの椅子2つ

長いこと一人のおまわりさんに事情を話して、次のおまわりさんにまた同じようなことを話して、

それをまた全部書いてゆく

「おまわりさんてマメなんだな」とかぼんやり考えながらみてた

住所と名前なんか何べん言ったかわからない

おまわりさんは口々に

あんなやつらとかかわらっちゃ人生めちゃくちゃになるよ

せっかく大学4年までなったんだろう

ハア

その時となると彼らは完全に向こう側の人間だった

色々言われた



こういうのもなんだけど、すけべ根性だすからだぞ、見ればわかるだろ

自分から乗せてくれと言ってくる女にまともなのいるか

ハアそうですね

乗せるならもっと美人のせな、あんなブス

ハア



左手の人指さしゆびではんこをおした。



じゃお前は帰りな、あいつらと関係ないみたいだからな。忘れ物ないな

ハア



というわけで千葉まで帰ってきたらもう夜中12時です

そうだ車検証わたしたままだった。

いつもの喫茶店が空いていたんで寄って、コーヒー飲んで、たばこふかすと、不思議な気分





ああ向こう側の人たち、けいさつ。何なんだろう

大事なところで、断りきれない僕の弱さがある

初めからあんなの乗せるのがわるい

たしかにそう・・・でも乗せたときは向こう側の人と思わなかったし

確かに、遊び人とおれとは違う、好きでもなかったした、でも普通に話しをしたし、何の壁もなかった

でもパトカーに止められた時すでに向こう側の人たちだった

おまわりさんがきれいにおれらの間に線を引いてくれた

たしかにあれで助かった、あのまま南口まで行ってたらどうなったか

保障のかぎりじゃない

おまわりさんは、けいさつで、けいさつは社会だ、社会の力だ。力の部分だ

けいさつしょでみた刑事の顔は、ほんとにこわくて

明るい健康な生活とそうでない生活

いい世界にいると、そうでない方へ行きたくなる

でも怖い目にあうと、ものすごくもどりたくなる




でも、もう一度。

あたり前のつまらない人生なんてまっぴらさと思ってた。

でも何かあると戻りたくなる。

でももう一度。