〜運動靴と赤い金魚〜
主人公の少年アリは、妹ザーラの靴を買い物の途中でうっかり失くしてしまう。アリの家は貧しく、親にも言えず、兄の靴一足でまず妹がアリの運動靴を履いて学校へ行き、下校途中で履き替えて次にアリが学校へぎりぎり駆け込むという厳しい生活がはじまる。
そんな時,小学生のマラソン大会が行われることになり、その3等の商品はなんと運動靴。アリはどうしても出場したいと先生に頼み込み許しを得る。いよいよ、マラソン大会の当日。毎日学校まで走っている足を生かし、必死に走るのだった。
この作品はイランの社会状況を巧みに織り込みながら、兄妹の心に触れあい、家族の絆を描いている。また、小さな失敗でも、子どもの頃親になかなか言えない自分、それをなんとか自分たちなりに解決しようとする複雑な心を子どもの視線から描いている。