1.はじめに | ||
学校卒業後の若者が,休日の昼間や平日の夜間に思いっきり羽をのばしている時間,障害を持つ若者が自分の部屋に閉じこもって過ごす。こういったケースが多いのはなぜでしょうか。@休日の過ごし方が分からない。A外出して何かするのに支援者が必要だが見つからない。といった理由が多数です。
こういった状況に対して,横浜では障害者地域活動ホームがホーム利用者を対象に「青年生活学級」,養護教育センターが卒業後の生徒を対象に「青年学級」,法人施設が利用者を対象に「余暇クラブ」を実施している。これらの実施主体に共通していえることは適切な指導者(教諭・職員)がいること,安心して会える仲間(利用者・卒業生)がいることで,障害者の余暇充実を図っている。
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2.障害者青年学級 |
8年くらい前から社会福祉協議会でも,この「障害者青年学級」を事業としてスタートした。幅広い公募から集まる障害者,地域というネットワークで集まったボランティアが繰り広げる社協の青年学級は,専門家が少ないためいくぶん不安定, 危険性をに持ちながらも,「今まで知らなかった人と友達になれた。」「今まで経験のなかったことをしてみて初めて楽しいと思えた。」という障害者の声があり、また「障害を持つ人と普通に付き合う感覚をつかめた。」「してあげるというより,一緒に行なうことがおもしろい。」というボランティアからの声も上がった。この事業はできるだけ専門家が関わらず,活動プログラムが進んでいくことを大切にしてきた。しかし,いざという時に「専門家の助言がもらえる。」「障害者個人の状況を知るネットワークがある。」が必要になる。つまり地域資源(ボランティア・余暇施設)と専門機関の連携を,社協が日頃どれくらいとっているかが大事になってくると言える。 |
3.サロン的活動 |
あの場所に行くとあの人がいる。いつでも行けるといったサロン的活動も数多く行なっている。社協では障害を持つ人とボランティアが中心になって区民利用施設にコーヒーサービスを週1回位,行なわせてもらっている。この事業の特徴は,区民利用施設に来る人が多く出入りし,その中で障害を持つ人と自然に会話をしたり,声を掛けられるというまさしく地域(人)との交流が大きいポイントである。 また,今まで「ボランティアをしてもらう側」ばかりだった障害者がコーヒーサービスという「ボランティアをする側」に立つという存在感に喜びを感じる人もいる。こういった多くの人と交わりのある活動が,区民利用施設が設計される段階で提案されていくよう,行政・住民に働きかけていくことが大切である。 |
4.ホームフレンド活動 | ||
社協に夏休み一番多かった依頼が障害児保育である。夏休み等の長期学校休暇の間は障害児地域訓練会も休みとなり,健常児であれば○○君の家に遊びに行く。○○ちゃんと泊まりに行く等といったことも障害児を持つ家庭は難しい状況です。「誰か,何とかボランティアを探せば」と単発的に行なってきた社協の事業を,昨年の夏,横浜障害児を守る連絡協議会に社協が協力して1区10ケース位をモデルに,障害児1人にボランティア2人が付き添いで外出するという事業を組織的に行った。長い休みに親子が離れ,親は親だけの時間,子どもは子どもだけの時間を持つことに充分意義はある。しかし実施してみると,問題点(親とボランティアの意識のずれ等)もわかり,まさに早い年齢から(親も子も)ボランティアとのつきあい方を学ぶ場の必要性も感じさせる事業であった。
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5.訪問活動 |
集合場所まで来れば参加できるがそこまで行くことも出来ない。こうした重度の障害者,心の病の人達の場合,ボランティアが家庭まで行って家庭で余暇を過ごす。話し相手をする。TVゲームをする。といった余暇の充実も必要とされ昨年からモデル事業として取り組み始めたのが訪問活動である。この場合相手の家庭に踏み込むため,コーディネートする職員が,充分な家族とボランティアとの打合わせを用意することが必要となる。 |
6.余暇をつくるセミナー |
余暇支援としての、グループ形式,サロン形式、個別対応形式を展開していく中でつきあたった壁は障害者の余暇に対する主体性である。 与えられた余暇を受けていくだけでなく、どう自分の欲しい余暇を回りの人に伝えていくか,作っていくかという経験、訓練が今までの生活環境上どうしても不足している。 社協では長期的ビジョンにたち、コミュニケーション,自立生活,パソコンインターネットという3つのセミナーを開き障害者自身が余暇を伝えていく,作っていくという練習を楽しく息長く続けていこうとスタートした。 |
7.おわりに | |
こういった活動を単発事業で縦割りにならないためにはどうしたら良いか。また,圧倒的に不足している余暇支援の供給主体を増やしていくにはどうしたら良いか。ある程度当事者を主体とした余暇支援プロジェクトをもっと大きな組織にして,そこにはキーとなる人材が何人か必要とされてる。また,余暇提供に関してはもう少し有償性を考えて「選んで買う余暇」を作って行くと良いと思う。横浜でいえば,せめて区単位または何区が合同のブロック単位でこのようなボランティア,有償スタッフを含んだ余暇支援プロジェクトを当事者団体や障害者専門の施設機関と共同で作っていくことが今後の課題になっている。
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