表題/心の病を持つ人を「受け入れる場づくり」を通して
@やすらぎ広場を設立した動機
青葉区には、明確でじゃないが精神障がい者が数千人位いるということです。精神障がい者の福祉は他の障がいに比べて立ち遅れて居ます。
精神障がい者のなかには作業所に行きたくない人、作業所での受け入れ不可能な人、作業所に不満を持っている人、会社や作業所に行っているが、週末行くところが欲しい人などがいます。
平成8年8月頃、精神障がい者の家族の方々から病院、施設、作業所以外に地域でやすらげる場がほしいという要望が社協に寄せられました。この家族の要望にこたえて当時者・家族(メンバーと言う)、社協、ボランティア(スタッフと言う)が共感し現在のやすらご広場の母体”やすらぎ広場を作る会”
メンバーが安心して自由にくつろげる場にするためにはどうしたらいいか、他の区で実践している人に来て話をしてもらったり、家族会やケースワーカーからのアドバイスを含めて時間をかけて充分な話し合いや勉強をしました。その結果、
(1)1日のスケジュールを立てない
(2)参加する為の手続きはとらない
(3)個人の情報は外に漏らさない
この3つはすぐに決まりましたが、対象の範囲(年・障がいの種類など)どうするか、関わり方をどうするか、どうやってメンバーに集まってもらうか、わからないことだらけでした。
けれど、とにかくやりながら考えていこうということで、平成9年4月5日に名称”やすらぎ広場”としてスタートしました。場所は青葉区役所別館の2階和室を借り、毎週土曜日午前11時から午後4時までとしました。
A運営の現状と課題
T. 広場の現状
1日平均7〜8名のメンバーを5,6名のスタッフが対応しています。持参のお弁当をみんなで一緒に食べる。トランプをしたい人、音楽を聴きたい人、それぞれ好きに過ごします。1人の人の悩みを全員で聴いて、全員で支える事もあります、別室で個別に話しを聞く事もあります。また、広場にはいろいろなメンバーがきます。例えば、
・Aさん:きちんと午前11時に来て、終了まで静かに過ごしています。
・Bさん:午後になってやっとお母さんに連れられてきます。
・Cさん:来るとすぐ仕事の悩みをずっと訴え続けます。
・Dさん:仕事が見つかると来なくなり、辞めるとまた来る、それを繰り返しています。
・Eさん:落ち込むと着て、元気になると帰っていく。それを繰り返しています。
・Fさん:自分の話したい事を繰り返し、繰り返し話し続けます。
こうしたなかでカウンセラーでもなく、治療でもなく、生活指導でもなく、同じ生活者としてメンバーの思いや悩みをありのままの姿で受け入れる事を心がけています。
U. 定例会
各スタッフはローテンションでメンバーとかかわっているのでスタッフの意思確認をするため、定例会は重要です。そのため毎月欠かさず、第3水曜日に開き、
(1)ローテンションを決める
(2)メンバーについての情報交換
(3)精神障がいについての勉強会 などをしています
V. 運営経費
経費は青葉区社協が負担しています。但し、スタッフも年1回のバザーで若干の補充をしています。
○行事
メンバーの希望で皆で多く集まる機会もつくっています。
・毎月1回才週土曜日に誕生日会。
・12月にはクリスマス会。
・野外レクリエーションを年2回、春と秋に行っています。
(行事の時も通常のやすらぎ広場はやっています)
B今後の方向
この広場も平成12年3月で丸3年になりました。多くのメンバーが喜んでくれたり、スタッフがそこでたくさんの勉強ができていることを肌で感じています。やすらぎ広場のような場が他の地域にも増えると良いと思います。病院、公的機関、関連諸団体なども役割分担をしていく必要性を感じてます。
〜スタッフのつぶやき(定例会)より〜
(1)見えない成果に対しても、真剣に取り組んでいきたいなぁ。
(2)メンバーに会って、本当にやさしい人達ばかりなのに心を打たれた
(3)スタッフの仕事は人の為でなく、一番自分んも為になったような気がする。
(4)お誕生日会のケーキがもっと大きいといいな。
(5)一度きりで子なくなったり、ずーっと欠かさず来ていた人がふっつり来なくなると、不安や心配になつ事もあるけれど、今は「それでいいんだ。来たい時に来てくれればいいんだ。」と思えるようになった。
(6)メンバーとの関わり方でメンバーや家族からの不満が聞こえてくると、動揺したけれど、考えてみるとそっとしてほしい人に言葉がけが多すぎたり、かまってほしい人にそっとしてあげすぎたりした事がありました。
(7)時にはお説教したくなったり、余計なお世話を焼きたくなったりするけれど、黙って暖かく見守るって本当に難しいなぁ。
(8)自分の価値観を自覚している事って大切だと思う。そうすれば、自分の思いを押し付けないで済むから・・・。